現役時代ユーティリティープレイヤーとして活躍し、今年からコーチとしてスタートしたばかりの人に襲った悲劇。
ファンの願いも届かず亡くなりました（Ｔ＿Ｔ）

２０１０年４月２日の巨人－広島１回戦試合前にくも膜下出血で倒れ、広島市内の病院に入院していた巨人の木村拓也・内野守備走塁コーチが４月７日３時２２分、死去した。３７歳の若さだった。宮崎県出身。通夜は９日１８時３０分から、葬儀・告別式は１０日１１時から広島市西区南観音８の１０の８の平安祭典広島会館で。喪主は妻由美子（ゆみこ）さん。

４月２日の広島戦（マツダスタジアム）前のシートノック中、ノッカーを務めていた木村拓コーチはバッターボックス付近で突然ふらつきながら倒れた。自動対外式除細動器（ＡＥＤ）による応急処置、心臓マッサージ、人工呼吸を施され、担架で運び出されて病院へ搬送された。

“球界のキムタク”との異名も取った木村拓コーチの野球人生は波瀾万丈だった。宮崎県内屈指の進学校である宮崎南高からドラフト外で日本ハムに入団したが、当初は支配下登録枠６０人（現行制度では７０人）から漏れ任意引退選手扱いに。当時は現在のような育成選手の制度もなく、２軍戦にも出場できず練習に明け暮れるのみ。１年目の５月に支配下登録された。

右打ちの捕手としてプロ入りし、１９９５年から広島へ移籍すると、投手以外の全ポジションをこなす万能選手として活路を見いだし、さらに両打ちに転向。レギュラーを獲得し、２０００年から４年間は規定打席数を突破。特に全１３６試合に出場し、リーグ最多の３４二塁打、打率・２８８をマークした２０００年の活躍は特筆される。２００４年アテネ五輪日本代表にも選出された。

２００６年シーズン中の巨人移籍後もいぶし銀の活躍を続け、２００８年には史上２５１人目の通算１０００本安打を達成。２００９年９月４日ヤクルト戦（東京ドーム）で、死球による退場などで巨人ベンチに捕手がいなくなり、急遽１０年ぶりにマスクをかぶってチームの危機を救ったのは、今後も語り草となるはずだ。

２０１０年３月２日、プロ野球新人研修会に講師として招かれ、西武・雄星、巨人・長野らを前に、「どうやったら試合に使ってもらえて、代えられないか。壁にぶつかったとき、僕みたいに考えると食っていける」と球界で生き抜く秘訣の一端を明かしていた。

昨年限りで現役を引退し、コーチ就任。中間管理職ともいえるコーチ業、さらに夫人、子供ら家族を広島に残しての単身赴任生活にストレスをためこんでいたと指摘する声もある。

身長１７３センチと小柄で何度も現役続行の危機に陥りながら、生き残りにかける執念と工夫、努力で現役生活１９年に及んだ木村拓コーチ。「自分は本当に運がいい」と語っていたが、指導者としても将来を期待されていただけに、早すぎる死はあまりに惜しい。

球界は今年に入ってから、１月１７日に今季日本ハム１軍投手コーチを務めるはずだった小林繁氏が５７歳で心筋梗塞による心不全で急逝。２月５日にはオリックス・小瀬浩之外野手がキャンプ地の沖縄・宮古島のホテルで転落死と、過去に例がないほどユニホーム組の死去が相次いでいる。

ご冥福をお祈りいたしますm(__)m
 

★木村拓也追悼特集★
 
プロ野球ゲーム２０１０年版

３人に１人が即死　怖い「くも膜下出血」の重大サイン

●たばこ・酒好きの単身赴任者は気をつけろ！

巨人の木村拓也コーチ（３７歳）のニュースにはビックリした。２０１０年４月２日、広島のマツダスタジアムでの練習中にくも膜下出血で倒れ、病院に運ばれたが、いまだに重体だ。巨人の清武英利球団代表は５日、木村コーチの容体について「人工呼吸器を装着したままで、依然として意識はない。危険な状態であることに変わりはない」と語った。

木村コーチは宮崎県出身で主に広島でプレーし、２００６年に巨人に移籍。昨年現役を引退し、今季から内野守備走塁コーチの職に就いていた。

野球関係者が言う。

「彼は責任感が強く、頼まれたらイヤと言えない生真面目な性格。コーチに転じ、人を指導することに戸惑いも感じていたようです。家族を広島に残しての単身赴任だったため、食事は外食が中心だった。酒もたばこもやり、酒は焼酎をけっこう飲んでいた」

くも膜下出血はどんな病気なのか。脳神経内科が専門の医学博士、米山公啓氏が言う。

「脳の硬膜と軟膜の間にあるくも膜の血管が破れる症状で、原因の２割は脳動静脈奇形といって先天的なもの、８割は脳動脈瘤（りゆう）といって血管にコブができて破裂します。患者の３人に１人が即死、残りのうち１人が後遺症を残して社会復帰、１人が完全に社会復帰しています」

木村コーチのような生活をしている人はくも膜下出血になりやすいという。

「真面目な性格だから新しい仕事への不安がストレスになった。だけど単身赴任なので家族と会話してストレスを解消することもできない。あれこれ悩んでいるうちに血圧が上がり、動脈瘤が大きくなる。しかもたばこで血管が収縮し、お酒で血行が活発化して動脈瘤が破れやすい事態を招いてしまうのです。くも膜下出血の前兆は物が二重に見えたり、左の手足がしびれたりマヒすること。目の奥や頭が痛いのもサインなので、早めに医師に相談してＣＴ検査などを受けるべきです」（米山公啓氏）

一人暮らしのサラリーマンはとくに注意が必要だ。

原監督も号泣、球団は追悼試合とお別れの会

巨人・木村拓也内野守備走塁コーチ（享年３７歳）の悲報に接し、原辰徳監督（５１歳）らが４月７日、兵庫・芦屋市内のチーム宿舎で報道陣に対応した。原監督は「何とか奇跡を、それだけを思っていましたが、かないませんでした」と涙を流し、主将の阿部は「（思い出を）振り返ったりすることも受け入れられない状況なので、何を考えていいか分からない」と悲しみに暮れた。

また、清武球団代表は４月２３日からの広島３連戦（東京Ｄ）のうち１試合を木村さんの追悼試合とし、同時期に「お別れの会」を行う意向を明かした。